DX・業務自動化

DX推進を加速させるプロセスマイニング×AIエージェントの相乗効果

DXを推進しなければならないという危機感は多くの企業が共有しています。しかし、実際にDXが順調に進んでいる企業は一部に限られます。新しいツールを導入しても現場に定着しない、何から手をつけていいかわからない――こうした停滞は広く見られる現象です。

本記事では、プロセスマイニングとAIエージェントを組み合わせることで、DXをどのように段階的かつ着実に進められるのか、その具体的なアプローチを解説します。


DXが停滞する企業に共通する「現状把握の欠如」

DX推進の名のもとにツールを入れても、業務プロセスが旧来のまま残っていれば、本質的な変革にはなりません。「新しいシステムを入れたが、結局以前と同じやり方で使っている」「RPAで一部は自動化したが、前後の業務が手作業のままで全体の効率は変わらない」といったケースが後を絶ちません。

この停滞の根本にあるのは、自社の業務プロセスがどう流れているかを誰も正確に把握できていないという問題です。経営層は「うちの業務は標準化されている」と考えていても、現場では部署ごとに独自のやり方が定着していることがあります。プロセスマイニングは、業務システムのデータという「事実」に基づいて業務の全体像を可視化することで、このギャップを埋める手段として機能します。


プロセスマイニングがDXのファーストステップになる理由

DXを成功させている企業に共通するのは、「まず現状を正確に把握する」ことから始めているという点です。プロセスマイニングは既存のイベントログを分析するだけで可視化でき、新たな大規模システムの導入は不要です。

データに基づいて改善の優先順位が明確になり、経営層・情シス・現場の三者が同じ事実を共有できることがポイントです。この共通認識がDXの最初の壁を突破する鍵になります。可視化の効果については子ページ①子ページ②で詳しく解説しています。


AIエージェントとプロセスマイニングを組み合わせた段階的DXの進め方

一気に全社を変革するのではなく、以下の「可視化→自動化→効果測定→次の改善」のサイクルを繰り返しながら着実にDXを前進させます。

  • ステップ1:プロセスマイニングによる現状の可視化
    イベントログを分析して業務の実態を明らかにし、ボトルネックや例外処理などの課題を特定します。
  • ステップ2:AIエージェントによる自動化・改善の実施
    特定された課題に対し、効果の大きい業務から順にAIエージェントを導入します。
  • ステップ3:プロセスマイニングによる効果測定
    導入前後のデータを比較して改善効果を定量的に把握し、成果を数値で証明します。
  • ステップ4:次の改善対象の特定
    効果測定の結果をもとに、さらに改善の余地がある領域を特定し、新たなサイクルに入ります。
プロセスマップで業務フローの全体像と各ステップ間の遷移・所要時間を可視化

サイクルを回すほど精度が上がる

このサイクルは回を重ねるごとに精度が上がり、最初の成功事例が社内に浸透することで、他部署への横展開など全社的なDXにつなげることが可能です。DXを「上からの指示」ではなく「現場が求めるもの」にできるかは、最初のサイクルで具体的な成果を示せるかにかかっています。


基幹システムのログをどう活用するか

多くの企業が「データは持っているが活用できていない」

「自社のシステムからデータを取り出せるのか」と不安に感じるかもしれませんが、SAPやOracle、Salesforce、kintoneなどの業務システムには、日々の操作ログが自動的に蓄積されています。これらはすべてプロセスマイニングの原材料となります。

レガシーシステムからのデータ抽出

古い基幹システムからのデータ抽出でも、データの前処理(クレンジング)によって分析可能な状態に整えることができます。ログのフォーマットが独自だったり、タイムスタンプの形式が統一されていなかったりするケースにも対応可能です。

【ガバナンス視点】スモールスタートを支えるセキュアなデータ管理

現場のデータを活用する際、セキュリティとプライバシーへの配慮は不可欠です。NADJAの提供する環境では、特定の部署や業務に限定してスモールスタートする際にも、データの読み取り権限(Read-Only)を厳格に管理します。また、従業員の個人名などをマスキング(匿名化)する処理を施すことで、「個人の監視」という現場の不安を払拭し、コンプライアンスを遵守しながら安全にDXを推進できる基盤を提供します。


中小企業でもスモールスタートできる実践アプローチ

最初から全社的な導入を目指すのではなく、課題感の強い業務を1つ選び、小規模に導入して効果を計測する一連の流れを短期間で回すことが重要です。「まずは受発注業務だけ」「経費精算のフローだけ」といった形で対象を限定すれば、必要なデータ量もコストも抑えられます。

KPIダッシュボードでケース数・平均所要時間・バリアント数を一目で把握

対象業務の全体像を素早く把握し、どの作業に最も時間がかかっているかを特定したうえで、AIエージェントの導入ポイントを見極め、効果をプロセスマイニングで計測する。この一連の流れを短期間で回すことで、最初の成功体験を得ることができます。


まとめ

DXの停滞を打破するには、「まず現状を正確に把握する」ことが出発点です。プロセスマイニングとAIエージェントの組み合わせによる段階的なサイクルで、大企業だけでなく中小企業でも着実にDXを前進させることができます。

NADJAでは、プロセスマイニングによる現状分析からAIエージェントの導入・効果測定までを一貫して支援しています。「何から始めるべきかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。

※本記事は、プロセスマイニングとは?AIエージェント導入の成果を最大化する業務分析手法の全体像の子ページ④です。

▶ 関連記事:プロセスマイニングで業務の「見えないムダ」を可視化し、AIエージェントの導入ポイントを特定する(子ページ①)
▶ 関連記事:AIエージェント導入前の業務分析|プロセスマイニングで自動化すべきプロセスを正しく見極める(子ページ②)
▶ 関連記事:AIエージェント導入後の効果計測|プロセスマイニングで改善インパクトを数値で証明する(子ページ③)

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