DX・業務自動化

プロセスマイニングとは?AIエージェント導入の成果を最大化する業務分析手法の全体像

「AIエージェントを導入したのに、思ったほど成果が出ない」「そもそも、どの業務から手をつければいいのかわからない」――こうした声は、DXや業務自動化を推進する情報システム部門や管理部門の方から、非常によく聞かれます。

その原因の多くは、「自社の業務が実際にどう動いているか」を正確に把握しないまま、AIエージェントを導入してしまうことにあります。プロセスマイニングは、業務システムに蓄積されたデータを使って「業務の実態」を目に見える形にし、AIエージェントをどこに・どう入れれば効果が出るかを明らかにする分析手法です。

本記事では、プロセスマイニングの基本的な仕組みから、AIエージェント導入との組み合わせ方、そしてNADJAが実践している「導入前の分析から導入後の効果測定までを一気通貫で行う」アプローチの全体像をお伝えします。


プロセスマイニングとは何か

プロセスマイニングの基本的な仕組み

プロセスマイニングとは、業務システムが自動的に記録している操作ログ(イベントログ)を分析して、実際の業務の流れを「見える化」する手法です。

たとえば、SAPやSalesforce、kintoneなどの業務システムには、「誰が」「いつ」「何をしたか」という操作履歴が蓄積されています。プロセスマイニングは、この既に存在するデータを活用するため、現場へのヒアリングや手作業でのフロー図作成に頼る必要がありません。

従来の業務改善と何が違うのか

従来の業務改善では、現場担当者へのヒアリングやワークショップでフロー図を描くのが一般的でした。しかし、担当者が説明するのは「普段こうやっています」という標準的な流れであり、実際に起きている例外対応や差し戻し、特定の人への業務集中といった問題は、なかなか表に出てきません。

プロセスマイニングは、システムに記録された「事実」をもとに業務フローを自動で再現します。誰がどの順番で処理したか、どこで何日滞留したか、どれくらいの頻度で差し戻しが発生しているか――こうした情報が、すべてデータとして可視化されます。

プロセスマップの表示画面
プロセスマップで業務フローの全体像と各ステップ間の遷移・所要時間を可視化

分析に必要なデータはシンプル

プロセスマイニングに必要なデータは、基本的に次の3つだけです。ケースID(案件や申請を識別する番号)、アクティビティ(実行された処理の名前)、タイムスタンプ(処理が行われた日時)。多くの業務システムにはこれらの情報がすでに記録されており、新たに特別なシステムを導入しなくても、今あるデータで分析を始めることができます。

拡大する市場と注目度

プロセスマイニングは世界的に急速に普及しています。グローバル市場は年平均約19%のペースで成長しており、2030年には現在の2倍以上の規模に達すると予測されています。国内でも、大手製造業や金融機関を中心に導入が進んでおり、DX推進の本格化やAI・RPAとの組み合わせ効果が広く認知され始めたことが背景にあります。


なぜAIエージェント導入にプロセスマイニングが不可欠なのか

「とりあえず導入」がうまくいかない理由

AIエージェントの導入が多くの企業で本格化するなか、「導入したが期待した効果が出ない」「現場に定着しない」という声も増えています。その原因は技術の問題ではなく、導入先の業務プロセスをきちんと理解していなかったことにある場合がほとんどです。

こうした「現場の実態」を把握しないまま導入すると、自動化できる範囲が想定より狭くなり、投資対効果が見えにくくなってしまいます。

プロセスマイニングが埋める「情報のギャップ」

プロセスマイニングは、この「現場の実態がわからない」という問題を解決します。導入前に業務の流れをデータで可視化することで、「この業務は処理の80%が定型的なので自動化効果が高い」「この承認ステップでは平均3日滞留しているのでここを改善すべき」といった判断が、感覚ではなく根拠をもって行えるようになります。

業界でも「AIエージェントが業務で成果を出すには、AIが対象の業務プロセスを理解していることが前提」という認識が広がっています。プロセスマイニングは、その「プロセス理解」を提供する役割を担います。

NADJAのアプローチ:分析と導入を分けない

NADJAでは、プロセスマイニングによる業務分析とAIエージェントの導入支援を別々のプロジェクトにせず、一体で運用しています。

さらに、企業が安心してAIを活用できるようガバナンス構築も同時に支援します。基幹システムから直接ログを抽出して改ざんリスクを排除(データの真正性確保)し、分析時には個人名をマスキング(匿名化)することで「監視」ではなく「業務改善」に特化するプライバシー保護運用を提供しています。また、AIエージェントによる処理もすべてイベントログとして記録されるため、判断の妥当性を後から検証できる体制が確保されます。


業務の「見えないムダ」を可視化し、AIエージェントの導入ポイントを特定する

「うちの部署は特に問題なく回っている」――現場からこう言われることは珍しくありません。しかし、プロセスマイニングで実際のデータを分析すると、本人たちが気づいていないムダが見つかることが非常に多いのです。承認プロセスでの繰り返される差し戻し、特定のベテラン社員への処理集中、部門間の受け渡しでの長期滞留――これらはヒアリングだけでは表に出てきません。

プロセスマイニングの大きな特徴は、「本来こう流れるべき」という理想のプロセスと、実際にデータが示すプロセスのズレ(乖離)を一目で把握できることです。この乖離の中にこそ、AIエージェントが効果を発揮するポイントが隠れています。

▶ 詳しくは子ページ①へ:プロセスマイニングで業務の「見えないムダ」を可視化し、AIエージェントの導入ポイントを特定する


AIエージェント導入前の業務分析|自動化すべきプロセスを正しく見極める

現場や経営層から「この業務を自動化してほしい」という要望が上がることがあります。しかし、処理パターンが多岐にわたる業務や、例外対応の割合が高い業務では、AIエージェントを入れても期待した効果が得られないことがあります。逆に、一見地味でも処理件数が多く定型的な業務のほうが、自動化の投資対効果は高くなります。

プロセスマイニングを導入前に行うことで、自動化対象の選定を勘や声の大きさではなく、データに基づいて行えます。各業務プロセスについて「処理にかかっている時間」「発生しているエラーの頻度」「例外処理の割合」などを定量的に算出し、「効果が大きい × 実現しやすい」業務から優先的に着手する判断ができます。

▶ 詳しくは子ページ②へ:AIエージェント導入前の業務分析|プロセスマイニングで自動化すべきプロセスを正しく見極める


AIエージェント導入後の効果計測|改善インパクトを数値で証明する

AIエージェントを導入したあと、「効果はどうだったのか」を数値で示せないケースは意外に多いものです。効果が曖昧なままだと、経営層への報告に説得力を欠き、次のフェーズへの予算確保も難しくなります。

プロセスマイニングを導入前にも導入後にも使うことで、同じデータ・同じ指標で効果を比較できます。たとえば、「請求書処理の平均所要時間が5日から2日に短縮された」「差し戻し率が30%から8%に減少した」といった形で、改善効果を具体的な数字で示すことが可能です。

導入後に期待した効果が出ていない場合も、データを分析すれば原因を特定でき、改善の打ち手を具体的に検討できます。

▶ 詳しくは子ページ③へ:AIエージェント導入後の効果計測|プロセスマイニングで改善インパクトを数値で証明する


DX推進を加速させるプロセスマイニング×AIエージェントの相乗効果

「DXを推進しなければ」という意識はあっても、実際には進まない企業は多く存在します。新しいツールを導入しても現場に定着しない、改善の成果が見えない、経営層の理解が得られない――こうした停滞の根本にあるのは、「今の業務がどうなっているか」を誰も正確に把握していないことです。

プロセスマイニングとAIエージェントを組み合わせると、DXを一気に進めるのではなく、段階的に進めることができます。「可視化→自動化→効果測定→次の改善」というサイクルを繰り返すことで、着実にDXを前進させることができます。中小企業でも特定の業務に絞ったスモールスタートが可能です。

▶ 詳しくは子ページ④へ:DX推進を加速させるプロセスマイニング×AIエージェントの相乗効果


内部統制・コンプライアンス強化とAIエージェント運用の両立

AIエージェントは業務効率化の強力な手段ですが、同時に「AIが正しく動いているか」を管理する仕組みも必要になります。2025年6月に公布された日本初の包括的なAI関連法(AI新法)は同年9月に全面施行され、企業にはAIの適切な運用と透明性がこれまで以上に求められています。

プロセスマイニングには、実際の業務の流れが、あらかじめ定めたルールやフロー通りに進んでいるかを自動でチェックする機能があります(適合性チェック)。「本来は部長承認が必要なのにスキップされている」「AIエージェントが想定外の判断をして処理を進めている」といった逸脱を自動的に検出でき、監査対応の工数を大幅に削減できます。AIエージェントによる判断もすべてイベントログとして記録されるため、後から検証可能な証跡が確保されます。

上場準備中の企業にとっても、業務プロセスの透明性確保にプロセスマイニングは有効です。NADJAのツールはこのチェック機能を標準で搭載しているため、AIエージェントの導入と同時に統制強化の基盤を整えることができます。

▶ 詳しくは子ページ⑤へ:内部統制・コンプライアンス強化とAIエージェント運用を両立させる方法


なぜ自社開発のプロセスマイニングツールを使うのか|ツール選定の考え方

プロセスマイニングツールを導入する際、選択肢は商用ツール、オープンソース、自社開発の3つに大きく分かれます。

NADJAが自社開発ツールを使う最大の理由は、プロセスマイニングの分析結果を、AIエージェントの設計・改善にそのまま活かせるからです。分析と導入を同じチーム・同じツール基盤で行うため、分析で見つけた課題がそのまま導入設計に反映され、導入後のモニタリング結果がツールの改善にも活きるという好循環が生まれます。

また、クライアントの業務環境に合わせた柔軟な対応(独自のログ形式への対応、オンプレミス環境での運用、特定業務に特化したダッシュボード設計など)も、自社開発ならではの強みです。

▶ 詳しくは子ページ⑥へ:なぜ自社開発のプロセスマイニングツールを使うのか|ツール選定と内製化の考え方


プロセスマイニングを起点としたAIエージェント導入を始めるために

プロセスマイニングは、業務の実態をデータで「見える化」する手法です。ヒアリングだけでは見つからない業務のムダやボトルネックを、システムに蓄積されたデータから明らかにします。

AIエージェントの導入効果を最大化するには、「どこに入れるか」の見極めが重要です。プロセスマイニングで業務を可視化してから導入することで、「とりあえず導入」ではなく「成果が出る導入」が可能になります。

NADJAは、プロセスマイニングを起点としたAIエージェント導入を、構想段階からお手伝いします。「自社の業務のどこに課題があるのかわからない」という段階からでも問題ありません。まずはお気軽にご相談ください。

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