プロセスマイニングの導入を検討する際、必ず直面するのが「どのツールを使うか」という問題です。大手商用ツール、オープンソース、自社開発――それぞれに特徴と限界があります。
本記事では、ツール選定の考え方を整理したうえで、NADJAがなぜ自社開発を選び、AIエージェント導入支援との一体運用をどう実現しているのかを解説します。
商用ツール・オープンソース・自社開発の比較
プロセスマイニングツールの選択肢は大きく3つに分かれます。
- 商用ツール(Celonis、IBMなど):機能面で成熟しており大規模データの処理に強みがありますが、高額なライセンス費用が必要です。また、分析結果をAIエージェントの設計に直接つなぐ仕組みは備えていないのが一般的です。
- オープンソース:無料から始められ自由度は高いですが、自社で構築・運用するための高い技術力が必要です。サポートがなく、品質もプロジェクトにより差があります。
- 自社開発(NADJA等):目的に合わせて柔軟に設計可能であり、分析から導入までを一本化できる強みがあります。ただし、開発を続けるための技術力と目的意識が不可欠です。
AIエージェント導入支援に特化したツールが必要な理由
汎用ツールでは「分析と導入の断絶」が生まれる
多くの商用ツールは業務の可視化と分析に特化しており、現実には「分析結果を報告書にまとめ、別の開発チームに渡す」というフローになりがちです。この受け渡しの過程で業務の文脈が抜け落ちてしまうことが少なくありません。
この断絶を解消するには、プロセスマイニングの分析データ(定型率、例外パターンなど)をAIエージェントの処理ロジック設計にデータの形で直接連携できる仕組みが必要です。導入後のモニタリングと効果計測も同じ基盤で行えれば、導入前後の実績を同じ指標で比較できます。
汎用性より「目的特化」の価値
あらゆる業種・用途に対応する汎用ツールは機能が豊富な一方、AIエージェント導入という特定目的に対しては過不足が生じやすいという側面があります。「必要な機能が深く統合されていること」が、特化ツールの価値です。
自社開発ツールだからこそ実現できる柔軟なカスタマイズと連携
国内企業特有の業務環境への対応
日本企業の業務環境には、多段階の承認フローや和暦、カスタマイズされた基幹システムなど、グローバル標準のツールでは対応しにくい独自の事情があります。自社開発であれば、独自のログ変換やデータ構造に合わせた取り込みモジュールを個別に開発でき、レガシーシステムのデータを最大限に活用できます。
【ガバナンス視点】データ抽出時の真正性担保とセキュアな連携
ツール選定において、情報漏洩リスクやデータの改ざんリスクをどう防ぐかは極めて重要です。NADJAの自社開発ツールは、基幹システムから手動のCSV出力を経由せず、API等による安全な直接連携(Read-Only権限)を構築できます。これにより、ログの改ざんリスクを排除し、J-SOXなどの監査にも耐えうる「改ざん不能な事実(Immutable Log)」としての真正性を確保します。

クライアントの業務環境に合わせた導入形態の選び方
導入形態は「一択」ではない
プロセスマイニングツールの導入形態は、クラウド型、オンプレミス型、ハイブリッド型などがあり、クライアントのセキュリティポリシーやIT基盤に応じて最適な形態が異なります。金融機関や医療機関など、データの外部持ち出しに厳しい制約がある業種では、オンプレミスでの運用が前提となる場合もあります。
段階的な導入で負荷を分散させる
最初は限定的な範囲で導入し、効果が確認できたら段階的に拡大する進め方が現実的です。NADJAでは、クライアントのIT基盤やセキュリティ要件をヒアリングしたうえで、最適な導入形態を提案し、段階的な展開を支援しています。

ツールの進化とAIエージェントの高度化を同時に回す運用設計
ツールは「完成品」ではなく「進化し続ける基盤」
自社開発の本質的な理由は、プロセスマイニングツールとAIエージェントが相互にフィードバックを与え合う関係を構築できる点にあります。
AIエージェントの運用データを分析すると「うまく処理できていないパターン」が見え、AIの改善に直結します。同時に「こういうパターンを検出するにはツール側にもこの機能がほしい」という要件が生まれ、ツールも進化します。この好循環を自社のペースで回し続けられることが、自社開発を選ぶ最大の理由です。
クライアントと一緒に「育てる」ツール
NADJAの自社開発ツールは、クライアントの業務から得られるフィードバックを直接開発に反映できます。「この業種ではこの分析切り口が有効」「この基幹システムのログにはこの前処理が必要」――こうした実務のノウハウがツールに蓄積されていくことで、使うほどクライアントの業務に最適化されていきます。
まとめ
ツール選定の基準は「自社の目的に最も適しているか」です。AIエージェント導入と一体で活用するなら、分析から導入・計測までを一本の基盤でつなぐアプローチが有効です。
NADJAでは、プロセスマイニングによる業務分析とAIエージェントの導入支援を一体で提供しています。分析結果がそのままAIエージェントの設計に反映されるため、「分析だけで終わる」ことがありません。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
※本記事は、プロセスマイニングとは?AIエージェント導入の成果を最大化する業務分析手法の全体像の子ページ⑥です。
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